アメリカに留学する上で一番大きな問題の一つが保険。大学によって保険の加入が義務付けられていたり、大学提携の保険に加入しないといけないケースも多々。逆に大学側からの指定はなく、保険が任意加入となっているケースも多いです。そしてアメリカの保険は日本と大きくシステムも料金体系も異なりとにかくややこしい!そんなことから「加入しない」という選択をする人もいます。
月々の保険金の節約にもなるし、何かあったときはあった時で自己負担すれば良い。という考えです。
・・・ですが結論から言うと「無保険で何かあったら自己負担」というスタンスは非常にリスクが高いです。なぜならアメリカの医療費は日本の医療費と桁が違うからです。
1・アメリカの医療費
アメリカと日本の医療費がどれくらい違うのか、簡単な例をみてみましょう。(日本もアメリカも全額自己負担の場合です。特にアメリカは場所によって金額が大きく変わるのであくまで目安としてお考えください)
風邪:日本3000円程度 アメリカ200-300ドル。
救急車:日本無料 アメリカ800ドル程度
入院:日本一泊1万円程度 アメリカ2,00 0-3,000ドル
盲腸手術:日本30-50万円 アメリカ20,000-30,000ドル(200万~300万円以上)
例えば留学中に事故にあい、救急車で運ばれ数日入院なんていうことがあれば簡単に100万円以上の請求書が届くことになります。日本の医療費は一人当たり年間平均7000円程度ですが、アメリカは年間平均6万円。約8倍です。日本とは桁が違います。
当然この医療費では多くの人が気軽に病院には行けません。また日本のような国民健康保険の制度もありません。(オバマの時代にオバマケアが導入されましたがトランプ政権はオバマケアの廃止を公約としています)特に低所得層は風邪やインフルエンザ等にかかってもほとんど病院行くことができず、結果として高額な医療費が格差社会に大きく寄与しています。(コロナの死亡率と所得、また人種の相関性を表す調査結果も報告されています。)
・・・というわけで!個人的に無保険の留学=ギャンブルです。特に神学校に留学する方は多くの方の祈りや支援に支えられているでしょう。目先の数万円を節約しようとすることによって取り返しのつかない負債を追ってしまいリスクは避ける方が懸命ではないかというのが個人的な意見です。(家族がいる場合は特に)
2・アメリカの保険、日本の保険どちらに加入するべきか
保険に加入することを決めたとして、ではどの保険に入るのか。アメリカ現地の保険に加入するか日本の海外保険に加入するか2つの可能性があります。そしてこれは非常に重要なことですが、渡米する前に考えておく必要があります。なぜなら
日本の保険のほとんどは日本にいる時にしか加入できないからです。
留学後「やっぱり日本の海外保険に入っておけばよかった」と思っても、時すでに遅し。一時帰国しない限り海外では加入できない場合がほとんどです。なので渡米前に、しっかり考えておく必要があります。
日本の保険とアメリカの保険では様々な違いがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。以下にそれぞれのメリット・デメリットをまとめました。
アメリカの保険のメリット・デメリット
アメリカの保険はかなり細かくカスタマイズが可能で、月々の支払いは日本の保険に比べてかなり安く抑えることが可能です。アメリカの保険にはDeductible(自己負担額)と言う概念があり、このdeductibleがいくらに設定されているかによって月々の保険料が大きく変わります。deductibleは一回あたりの診療で自己負担をいくらするかという設定です。Deductibleの額を自分で負担し、それを超えた分を保険がカバーすると言うイメージです。当然低い方が良いですが、deductibleが低いと月額保険料は上がります。例えば通常の風邪などでは病院に行かず、入院や手術などの万が一のためだけに保険に加入したいという場合はアメリカの保険でdeductibleを少し高めにし、月額を抑えるという方法があります。その場合月額保険料は50ドル-100ドル程度で済みます。また医療費の限度額が日本の海外保険よりも大きい場合が多いです。(限度額は選択可能)またアメリカの保険では歯科、予防治療、メンタルヘルス、出産費用等もオプションとして追加することが可能です。(当然オプションを追加すればその分月額は大幅に上がりますが)ちなみに日本の海外保険では、それらのオプションの選択肢自体が無い場合がほとんどです。また大学が提携している場合はかなり安い月額でベーシックな内容をカバーした保険に加入することが可能です。
アメリカの保険のデメリットとしては何よりもその分かりにくさと、手間が挙げられます。アメリカの医療費は自己負担だけではなく入院や薬などそれぞれ別々に請求が送られてくることが多く、結局いくら自己負担で払う必要があるのか計算がややこしいです。特に英語がそこまで流暢出ない場合、保険用語の数々に翻弄されるでしょう。参考程度にアメリカの保険用語の翻訳が載っているページのリンクを載せておきます。
日本の海外保険のメリット・デメリット
日本の海外保険のメリットは何と言ってもシンプルさと安心です。日本の海外保険にはdeductibleのような自己負担額の設定はなく、基本的には自己負担は0です。(限度額以内の場合)また日本の保険会社のほとんどが24時間日本語での電話対応を受け付けています。日本語で質問することができる安心感はやはり相当なものです。また何か病院等で分からないことがあった場合、サポートセンターが直接病院と話してくれることもあります。またアメリカの大都市には日本語対応の病院がありますが、多くの日本の保険会社は日本語病院と提携していて、提携病院ではキャッシュレス対応可能です。(保険会社が直接支払いを代行してくれるため一時的に出費する必要がない)また日本の海外保険の場合アメリカの国内旅行、盗難、または物損(何か壊してしまった時の保証)などが含まれていることが多く、健康保険だけではなく留学生活の全般を保証してくれます。
デメリットとしてはやはり月額です。サポートが手厚い分月額はアメリカの保険よりも高いです。月2-3万円程度は見た方が良いでしょう。また歯科、予防治療、メンタルヘルス、出産などカバーするオプションが無いことも人によってはデメリットになるでしょう。
アメリカの保険のメリット | 日本の海外保険のメリット |
月額が安い | 分かりやすい料金体系。自己負担0 |
自己負担金額等の細かい選択可能 | 日本語のサポート |
医療費の限度額を大きく設定可能 | 日本語の病院との提携 |
歯科、予防治療、メンタルヘルス、出産等のオプション追加可能 | 旅行、盗難、損傷等もカバーされる場合が多い |
ちなみに出産費用に関してですが、多くの州では州ごとにMedicare制度があり、出産にまつわる費用はほとんどカバーされる場合があります。各州ごとに異なるので、保険を決める前に州ごとの保証内容を必ずチェックするようにしてみてください。例えばイリノイ州ではmoms and babysという素晴らしい制度があるので、出産費用等は保険の条件として考える必要はありません。また子供に関してもall kidsという保証があります。トリニティ、ホウィートン、ムーディ等イリノイ州の神学校を検討している家族持ちの方は要チェックです。
Moms and babys https://www.illinois.gov/hfs/MedicalPrograms/AllKids/Pages/MomsAndBabies.aspx
All Kids
https://www.illinois.gov/hfs/MedicalPrograms/AllKids/Pages/default.aspx
3・結論:最初は日本の海外保険がおすすめ
以上アメリカの保険と日本の海外保険の違いを見てきましたが、個人的な結論としては最初は日本の海外・留学生保険がおすすめです。アメリカの保険よりも値が張る場合が多いですが、色々と不安なことも多い留学生活の中で、保険の不安(特に言語や専門用語の理解からくるもの)が解消されることは大きいです。日本の海外旅行・留学保険は日本にいる時にしか加入できないものが多いので、検討している方は渡米前に必ず確認するようにしてください。また保険会社が提携している日本語対応病院を事前に調べておくことも大事です。それも保険会社を選ぶ一つの指標になるでしょう。
最後に保険会社の保証内容を一気に比較できるサイトをいくつか紹介しておきます。
https://www.aienu.com/ryu/
AIG,東京海上、ジェイアイ、損保など主要な海外旅行・留学保険の金額と保証内容を簡単に比較出来ます。情報を入力する必要もありません。提携病院のリンクがそれぞれついているのも良いです。
https://e-calls.co.jp
こちらは簡単な条件を入力する必要があります。細かい条件入力が可能なので、絞って探したい人には便利です。
https://hokentimes.com/kaigai/?article_america-ryugakuhoken
保険タイムズは担当者が条件に応じて最適なプランを提案してくれるサイトです。直接質問等のやりとりができます。
ちなみにアメリカの保険に加入する場合はIMGやISOなど留学生を対象にしているものがおすすめです。
ISO
https://www.isoa.org
IMG
https://www.imglobal.com/international-student-health-insurance
コメントを残す